伝統的な盛岡南部鉄器の工房である薫山工房の、浅田薫山が造った桜地紋砂鉄瓶をお買取りしました。取り外し可能の鬼面鐶付提手がついています。
非常に芸術性の高い逸品で、桜の花の浮彫が全面に施されており、蓋のつまみは蕾の形としています。緻密に彫り込まれた桜は見事の一言に尽き、まるで着物の刺繍のような、そんな繊細かつ重厚な美しさを感じられます。
薫山工房は、南部鉄器、砂鉄製南部鉄瓶の老舗工房です。青森県の盛岡に工房を構え、初代浅田薫山から三代に渡り、昭和12年から脈々とその技術が受け継がれています。
南部鉄器は岩手県の伝統工芸ですが、そもそも「南部」とはどの地域を指す言葉なのでしょうか。
「南部せんべい」という銘菓がありますが、これがどの県のお土産かと問うと「岩手」と答える人と「青森」と答える人が出てきます。「南部」とは、江戸時代に南部氏がおさめていた、現在の青森県の東部と現在の岩手県の中部から北部にかけての地域を指す言葉です。
「東北なのに南部??」と不思議に思っていた方も、これでなぜ「南部」という名がついたか分かったはずです。南部とは、方角を表した言葉ではなく、おさめていた藩士の名前だったのです。
このような歴史的背景があり、青森県の一部、そして岩手県の一部を「南部」と呼ぶようになりました。南部鉄器も、岩手県だけでなく青森県でも生産されています。
南部鉄器は、その名の通り鉄製なので非常に丈夫です。陶器の急須や食器と比べてはるかに壊れにくく長持ちします。また、保温性に優れており、お茶やお湯、煮物などを温かいままキープできるのも特徴です。
さらに、鉄が水のカルキを吸着するため、とてもまろやかで優しい口当たりとなります。
そんな、実用性にも優れた南部鉄器ですが、今回お買取りした作品は「眺めて楽しむ・味わう」という点でも非常に優れています。
インテリアとしても存在感を発揮し、お部屋に重厚感ある凛とした美しさを添えてくれますし、もちろん使ってもその魅力を存分に発揮してくれます。
カインドベアでは、このような伝統工芸品を積極的にお買取りしております。南部鉄器はもちろん、他地域の陶器や食器、工芸品など、幅広く査定させていただきます。もし、ご自宅に眠っている「高級らしいけど全然使っていない」陶器や鉄器、食器などがございましたら、一度お気軽にお問い合わせください。