今回お買取りの釉裏金彩線文様の香炉(共箱、共布、栞付き)は、人間国宝である九谷焼錦山窯三代の吉田美統氏が手掛けた作品です。
吉田美統氏は、石川県小松市高堂町の九谷焼上絵付を専業とする窯元「錦山窯」の三代目で、初代である吉田庄作が明治39年(1906年)に開業して以来脈々と受け継がれている窯の火を絶やす事なく、その伝統的な職人技を現代まで受け継いでいます。美統氏は、金箔の薄箔と厚箔を用いて遠近感を出す「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」という手法を得意とし、その繊細な技術は人間国宝に認定されるほどの素晴らしいものです。
今回お買取りした釉裏金彩線文様の香炉にも「釉裏金彩」という言葉が入っている通り、金箔の濃淡が奥行きと立体感を感じさせる美しい模様が描かれています。
縦にストライプのように伸びる厚箔と、その間に走る波打つような薄箔が洗練された美しさを演出し、更に香炉そのものの色味も底から蓋に向かい、エメラルドグリーンのような青みがかった緑色から黄色へと柔らかいグラデーションとなっており、全体的にスタイリッシュなデザインとなっています。
底には「美統」の文字がしっかりと刻まれているため、人間国宝である吉田美統氏が手掛けた作品であるという事がひと目で分かります。
和を感じさせるデザインでもあり、中国の陶器のようなデザインに感じられる一面もあり、更には西洋のイメージすら彷彿とさせる、そんな不思議な魅力を放つ釉裏金彩線文様の香炉は、和室に置いても洋室に置いてもピッタリと馴染む事でしょう。
香炉ですので、お香を立てて香りを楽しむために使われるものですが、ただインテリアとして飾っておくだけでも楽しめる作品です。決して華美になりすぎない存在感で、お部屋のワンポイントとして毎日の生活に彩を添えてくれる事でしょう。
共箱、共布、そして栞も付いているため、普段は箱にしまっておき、大切なお客様が見える際などに共布の上に置いて栞も添えて飾っておけば、いつものお部屋がワンランク上の空間に変わります。
勿論、本来の香炉としてお使いいただくにも最適です。お香を楽しむ際には折角ですので、釉裏金彩線文様の香炉のカラーや模様のイメージ合った爽やかでたおやかな香りを選び、香炉と香りのコラボレーションを視覚と嗅覚で楽しむというのも一興かもしれませんね。